市街化調整区域における大型物流施設の建設について
市街化調整区域(都計法)では原則として、物流施設関連の建物を建設することはできませんが、下記の要件を満たす場合は可能となります。
◎特積倉庫
特別積み合わせ貨物運送事業を行う事業者の一時保管倉庫
貨物自動車運送事業法で特別積み荷合せ貨物運送事業の許可を受けた事業者が建設する荷物の一時保管用の倉庫です。都計法では公益施設扱いとなっているため、開発許可は不要です。メリットは土地利用関連の許認可を取得しやすいことがあげられます。デメリットとしては、営業倉庫(倉庫業法の倉庫)としては登録できず、貨物自動車の定期路線の維持などのコスト面の課題があります。
◎大規模流通施設
倉庫業の倉庫(地方運輸局長が相当規模と認定したもの)
(岡山県では平成19年以降、認められていません)
倉庫業の倉庫(営業倉庫)で、地方運輸局長が相当規模と認定した物流施設が対象になります。大規模流通施設については、各自治体ごとに許可基準に差異があり、許可の対象にしていない自治体もあります。岡山県では「まちづくり三法」が改正された平成19年以降、大規模流通施設を認められなくなりました。(岡山県では、大規模流通施設から特定流通業務施設に移行しました)
「地方運輸局長が相当規模と認定した物流施設」とは、積載量5t以上の大型トラックが概ね1日平均延べ20回以上発着する施設をいいます。
◎特定流通業務施設
「総合効率化計画」(物流効率化法)の認定を受けた施設
(倉庫業の倉庫、一般貨物自動車運送事業の施設)
物流効率化法の「総合効率化計画」の認定を受けた施設を特定流通業務施設といいます。特定流通業務施設は都市計画法の処分の配慮(開発許可の対象になる)を受けることができます。つまり、特定流通業務施設であれば、市街化調整区域でも開発許可を取得して、物流施設を建設することができます。 ただし、配慮されるのは都市計画法だけであり、農地法、森林法の配慮はありません。(倉敷市では2種農地以上は不可) また、倉庫業の申請(営業倉庫)が必修となります。
特定流通業務施設は、特積倉庫と違い、営業倉庫の登録ができるので、他社の荷物を長期保管、管理することができます。また、一般貨物自動車運送事業の施設(事務所、休憩所、車庫)も設置することが できます。岡山県では 「総合効率化計画 」の共同申請者であれば、建物の一部を賃借して、一般貨物自動車運送事業の営業所等を開設することが可能となりました。(自己の業務の特例)
コンプライアンスの観点から、最近では特定流通業務施設を計画される事業者が増えております。当事務所では、特定流通業務施設を多く手掛けております。
詳細は「物流効率化法とは」をご覧ください。
◎地域未来投資促進法を援用した物流施設
「地域未来投資促進法」の重点地区に定められた地域
「地域未来投資促進法」とは、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼすことにより、地域における経済活動を牽引する事業の促進のために制定された法律です。この促進法を援用して、市街化調整区域に物流施設を建設する事例も出てきました。地域未来投資促進法の重点地区に設定されれば、物流施設も建設可能となります。(都計法、農地法の配慮も受けれます)
岡山県内では、食品関連の物流倉庫であれば、地域未来投資促進法の「地域経済牽引事業計画」を申請すれば、開発許可を取得して物流施設を建設することができます。岡山市では、食品関連の倉庫以外に普通倉庫も昨年の11月より、地域未来投資促進法を援用して開発許可を取得出来るようになりました。
また、地域未来促進法を援用し自治体と連携して地区計画(都計法)を定めることができれば、食品関係以外の物流施設の建設も可能となります。ただし事例は少なく、当事務所も地域未来投資促進法による物流施設の建設を模索しているところです。
◎産業拠点の既存工場等の事業活動に必要な施設(岡山市のみ)
「岡山市企業用地の確保に関する運用指針」参照
昨年の11月に発表された「岡山市企業用地の確保に関する運用指針」により、岡山市都計法14号開発審査会基準に左記の項目が付け加えられました。岡山市内の市街化調整区域内にある
10カ所の工業団地の隣接地において、工業団地内にある工場が 工場、研究施設、物流施設を建設することが可能となりました。ただし既存施設(工業団地内)の拡張が条件となります。
◎流通業務施設(岡山市のみ)
「流通業務市街地の整備に関する法律」第2条1項に規定する施設
岡山市では「岡山市開発行為の許可基準等に関する条例」で、市街化調整区域内の 岡山市が指定する幹線道路沿いについて、官地との境界より50m以内であれば、流通業務施設(流通業務市街地の整備に関する法律第2条1項に規定する施設)を建設することができる規定があります。(参考資料:「 岡山市開発行為の許可基準等に関する条例」 参照)
ただし、この条例は令和8年4月以降は廃止となり、この条例に基づく開発行為はできなくなります。
※流通業務施設とは(法第5条1号~6号)
・ トラックターミナル
・ 卸売市場
・ 倉庫、野積場、貯蔵槽(危険物を除く)
・ 上屋又は荷捌き場
・ 道路貨物運送事業等の用に供する事務所又は店舗
・ 上記以外の事業を営む者が流通業務の用に供する事務所
市街化調整区域における
大型物流施設の建設つにいて
土地利用を規制する法律の一つに「都市計画法」があります。市街地のスプロール化を防止し、まとまりある計画的なまちづくりを推進するための法律です。この法律により、市街化調整区域に指定された地域では、建築制限がかかり、物流施設(倉庫、車庫、営業所)は、一定の条件を満たさないと建設できなくなりました。(ただし特積倉庫であれば建設可)
岡山では昭和46年に都市計画区域が定められましたが、それ以降に高速道路や都市計画道路等が整備され、交通事情も変わり、土地の利用状況も変化してきました。物流施設の立地条件も変わりましたが、都市計画区域の変更はほどんどなされないまま、今日に至っております。そのためインターチェンジ付近の幹線道路沿いの土地に、物流施設の立地が難しい状況になっています。
そのような状況の中、岡山では 「特積倉庫 」「大規模流通施設」については、市街化調整区域でも一定の条件のもとに認められておりましたが、平成19年以降、まちづくり三法の改正に伴う都計法の改正により、「大規模流通施設」 は許可の対象外となりました。(都計法の規制の強化)
「大規模流通施設」に代わり、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律 」(物流効率化法)の「特定流通業務施設」であれば、「総合効率化計画の認定」を受けることを条件に、市街化調整区域でも、物流施設を建設することができるようになりました。(物流効率化法は物流を効率化を図る目的で制定された推進法です)
また、「地域未来投資促進法」を援用して物流施設の建設も可能です。( 地域未来投資促進法 は地域経済の活性化を目的とした促進法です)
開発許可や総合効率化計画の認定等、複雑な許認可申請を行う必要がありますが、上記の許認可を取得すれば、市街化調整区域でも物流施設を建設することができます。